レイコとシンジ-砂漠に逝く-前編- 2

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「慎治、分からないの?これはね、鞍よ。」戸惑う慎治に礼子が教えてやった。言われて見ると、よく分かった。慎治は乗馬をしたことはなかったが、確かにそれは鞍だった。あのレザーのところに跨り、鐙、手綱になるんだな・・・でも、随分手綱も短いし、鐙と鞍との距離も短いんだな・・・ま、さ、か・・・慎治たち二人にほぼ同時に電流が走った。ここには馬なんかいない・・・ということは、まさか、これをつけられる馬っていうのは???「二人とも、勘がいいじゃない。そうよ、これはね、慎治たちにつけるための鞍よ。」「二人とも感謝してね。この鞍、特注品だから結構高かったのよ。私たちでネットをあちこち探しまわった挙句にお小遣い出しあって買ったんだからね!!」二セット用意された鞍が、慎治たちのものであることは明らかだった。そして、慎治は漸く謎が解けた気がした。真夏なのに、なぜ玲子たちがブーツを履いていたかを。玲子たちは最初っから、俺たちを馬にするつもりだったんだ。だから、わざわざ乗馬ブーツまで用意してきたんだな・・・そう考えると、自分たちの運命も簡単に予測できた。

「慎治、分かったみたいじゃない。」玲子の声が追い討ちをかけた。「ビンゴよ!!二人とも、今日は馬になってもらうからね。気合を入れて走るのよ!」呆然とする二人に構わず、玲子たちはさっさと準備にとりかかった。あっという間に鞍は二人に取り付けられた。皮革と金属の塊。つけられただけで結構な重さだった。「慎治、口を開けて!」玲子は慎治に大きく口を開けさせると、ハミをくわえさせた。口の中、奥深くまで入る棒状のマウスピースを加えさせられると、まるで猿轡を噛まされたようなもので、まともに声を出すことさえ困難だった。腹にしっかりと止められたベルトの横には、鐙が垂れていた。馬、、、四つんばいにさせられ、最後のベルトをしっかりと固定された慎治たちの姿はまさしく馬そのものだった。「ひ、ひどい、、、こんなのひどすぎる・・・」慎治は必死で抗議の声をあげようとしたが、口の中深く噛まされたハミのせいで、「アー-、、イビー・・・」といううなり声にしか聞こえなかった。未だ何の責めも始まらない内に、慎治たちは早くも声を奪われてしまった。「さあ、準備OK!!」礼子の明るい声が体育館に響いた。「どう玲子、二人とも結構似合うじゃない!!」「そうね、サイズもぴったしじゃん。やっぱり、結構高かったけどオーダーものにしといてよかったわね。」「ほんと。鞭もそうだけど、やっぱり苛め道具って、けちっておもちゃみたいなのにしちゃ、駄目ね。さ、早速初乗りしようか!」「ちょっと天城、はやる気持ちはわかるけど、駄目じゃない。まだ最後の準備が残っているわよ?」「最後?なんかあったっけ?」「もう、天城ッたら!乗馬の時、必ず身に付ける道具があったでしょ?」「道具?えーと・・・あっ、わかった!確かに。アレをブーツにつけなくちゃね。」「でしょ、はい前方不注意、減点一点!」二人は笑いながら、バッグの中から小さな道具を取り出した。短いベルトに金属製の小さな歯車のようなものがついていた。拍車だった。ブーツに拍車を取り付け、いよいよ準備完了だった。床から今日は乗馬鞭を拾い、ヒュンッと素振りをくれながら玲子たちは馬に近づいてきた。「慎治、たっぷりと乗りつぶしてやるからね。覚悟しなさい。」鞭の先端で慎治のあごを撫でながら、玲子が刑の執行を宣言した。「あ、そうだ。乗る前に慎治たちに一つだけ、お情けをかけてあげる。」きょとんとする慎治たちの掌と膝に、二人はサポーターをつけてやった。「さ、これでよし、と。私たちを支えるんだから、何もなしじゃ手や膝が痛いでしょ?これで大分違うはずよ。」思いもかけぬ玲子たちの心遣いに一瞬、慎治たちは信じられない思いだった。それが単に、自分たちの限界を遠のかせ、責め苦を長引かせるための工夫だとは気づかずに。玲子たちは二人に情けをかけた訳でもなんでもない。ただ、サポーターを使わせないと直ぐ掌、膝が擦り切れて限界になってしまい、面白くない、と考えただけだった。熟練した拷問者が焼き鏝を使う本格的な拷問で、犠牲者を焼く前に鏝を少し冷まし、死んだり痛覚が一瞬で麻痺するのを防ぐようなものだった。

床に四つん這いになっている慎治を玲子が跨いだ。うなだれる慎治の視界に玲子の長いブーツが映った、と思った次の瞬間、玲子は無造作に慎治の背中に取り付けた鞍に腰をおろした。「ウッッ」ズシリと来る玲子の体重に慎治が思わずうめいたのに構わず、玲子は足をあげ、慎治の脇腹に垂れている鐙に足を乗せた。「グッッッ」玲子の全体重が慎治の背中にのしかかった。いくらスリムな玲子といっても170センチ近い長身だ。ましてや格闘技で鍛え、筋肉も相当についている玲子の体重は軽く50キロはある。鞍の重みも合せると、かなりの負荷だった。じっとしているだけでも、結構辛かった。「ウグッッ」傍らで別のうめき声がした。ふと見ると、慎治も自分同様、礼子に跨られていた。(なんて不様な姿なんだ・・・おれもひどいざまなんだろうな・・・)だが、のんびり落ち込んでいる暇はなかった。玲子は慎治に咥えさせた手綱を握りぐいっと引き、慎治の首を立てた。「さあ、行くわよ!」むきだしの尻を玲子の乗馬鞭がピシリと軽く打った。昨日の拷問のような鞭と比べれば、なんでもない鞭だった。だが、慎治を震え上がらせるには十分だった。自分に跨る玲子の機嫌を少しでも損なえば、直ちに鞭の痛打に見舞われることは確実だった。慎治は恐怖に駆られ、必死で歩き出した。玲子の重みに耐えながら、一歩一歩、必死で手足を前に出した。「ほら、慎治、何よたよたしてるのよ・・・もっとしっかり歩きなさい!」ヒュンッと風を切る音がした。ピシッ・・・慎治の尻に火のような痛みが走った。「ひ、ひびぇぇっ!」慎治は必死で歩いた。「ほら、どっちに行くのよ!!」ぐいっと手綱を引かれ、首から体が左に引っ張られた。必死で前を見ると、慎治は体育館に引かれた一周50メートル程度のミニトラックのコーナーにいた。玲子はラインに沿い、慎治を一周させるつもりだった。長い長い道のりだった。玲子を背にのせての一歩一歩が慎治にとって、何十メートルにも感じられた。何度となく、慎治は(もう限界だ、もう駄目だ・・・)と腕も足も力を抜き、倒れこみそうになった。だが、背中には玲子が跨っている。もし、倒れて玲子を床に転がしてしまったら・・・考えるだけで恐ろしかった。昨日の比ではない鞭が待っているのは確実だった。いや、鞭どころではない、もっとひどい目にあわされるかも・・・考えるのも恐ろしかった。慎治がふらふらになりながらも漸く一周を回り終えた時、礼子は自分の乗馬、慎治をコーナーに乗り付けていた。「ねえねえ玲子、ちょっとこっち来てごらんよ!」礼子の声に二人が振り向くと、礼子は体育館の壁に設置された大きな鏡の前にいた。野球、テニス等のフォームチェック用に設置された鏡は2メートル四方もある大きなサイズだった。「ここだとさあ、全身バッチリ見えるよ。自分の乗馬姿を見るって言うのも、なんかいい気分よ!」グイッと慎治の手綱が引かれた。(あそこまで歩くのか・・・)体育館一周の四分の一くらいはある。慎治は思わず手足を止めてしまった。間髪を入れず、慎治の尻に玲子の鞭が振り下ろされた。「ハイッ!!」玲子は掛け声もろとも慎治の尻をもう一打ちすると共に、慎治の腹を拍車で容赦なく蹴りつけた。

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