レイコとシンジ-WHIP AFTER WHIP-後編- 3
百発以上は鞭打たれたであろうか。慎治の意識が殆ど薄れかけ、痛みが現実感すら失い始めた頃、漸く礼子は鞭を休め、慎治に近づいてきた。礼子の鞭に全精力を奪われた慎治はガクンと首を垂れ、荒い息をついていた。慎治の背中から腰、尻は見るも無残に真っ赤に腫れ上がり、ところどころは血が滴っていた。柔らかい脇腹に食い込んだ鞭は太い蛇がのたうった跡のような、無数のみみず腫れを慎治に与えていた。礼子が慎治の腕を吊るしたロープを解くと、慎治はそのまま床に倒れこんでしまった。全身の鞭跡はジンジンするような、カッカと熱くなるような苦痛に変っていた。まるで背中全面に短い針を間断なく刺されているかのようだった。「どーお、慎治?少しはこたえた?久しぶりの鞭のお味はいかが?」ブーツの爪先で軽く慎治の顔を弄びながら、礼子は足元ですすり泣いている慎治に笑いかけた。「流石の慎治も、いつもの視聴覚室での鞭よりはきついみたいね。」「お・・・おねがい・・・もうゆるして、、もうぶたないで・・おねがい・・・」慎治は必死で声を絞り出し、哀願した。「もうだめ・・・しんじゃぅよ・・・おいしゃさんにつれてってょ・・・」「なにバカ言ってるのよ!この程度で死ぬわけないでしょ?血が流れたのなんて、ほんのちょっとじゃない。まだまだいけるわよ。折角こんな遠くまで来たんだもの、お楽しみはこれからじゃない!?」そ、そんな、、、まだ鞭打たれるの???慎治の悲鳴があがるより先に、礼子は明るくにこやかに笑いかけた。「でも、安心していいわよ、もう背中は叩かないから。」慎治は一瞬、ほっとした。ふう、よかった・・・さっきのような凄い鞭はもう許してもらえるんだな・・・と、次の瞬間、背筋をぞくっとするような嫌な予感が走った。背中は?ていうことはまさか、他のところを鞭打つ気なんじゃ?もっと痛いところを・・・「これ以上背中やお尻を打っても、もう痛みが新鮮じゃないものね。」慎治の予感は的中した。最悪の形で。
「さあ、慎治、おしゃべりはこれくらいにしようね。慎治も少しは休めたでしょ?」礼子が二本目のロープを手にして近づいてきたのを見て、慎治は思わず逃げ出そうとした。獣のように四つん這いで。「だめよ、慎治、逃げたりしちゃ。余計な手間をかけさせないでね。」礼子は難なく慎治を組み伏せると、慎治の両手を後ろ手にして手錠をかけ、慎治の左足首をロープの片端で縛った。続いてもう一本のロープを取ると、同じように右足首を縛った。両足首から伸びるロープを見て、慎治は恐怖に怯えた。いったい、なにをされるんだろう・・・どういうめにあわされるんだろう・・・何をされるのかまったく予想がつかなかった。その分、恐怖だけが一人歩きし、膨れあがっていった。「な、なにをするの・・・やめてょーっ」慎治は金切り声をあげた。「うるさいわね、直ぐにわかるわよ。あんた男の子でしょ?その金切り声、おかまみたいで気持ち悪いわよ。」礼子は用意しておいた二台の滑車を渡り廊下の手すりの付け根に2メートルほど離して固定し、慎治の両足首を固定したロープをそれぞれの滑車に通した。礼子が二台の滑車をゆっくりと操作するにつれ、慎治の足は股裂きのように広々と開脚させられた。礼子が更に滑車を回すと、慎治の体は足を広げたまま逆立ちの姿勢で徐々に持ち上げられていった。「あっやめて、、体が浮いちゃぅーーー!」慎治の悲鳴が響いた。カラッと軽い音を立てて滑車が止まった。慎治は首の後ろから背中の四分の一程度だけを床につけ、顔、腹を礼子の方に向けながら逆立ちしていた。両足を全開脚した姿勢で逆立ちし、全身でY字を作っているようだった。
慎治の顔の横に礼子のブーツがそびえていた。長身でスラリと膝下の長い礼子のブーツはオーダーメイドで、市販のものよりかなり丈が長く膝の直ぐ下まで伸びていた。床に縫い付けられた慎治の視線からでは、礼子のブーツだけでも十二分に威圧的であった。ましてや、ただでさえ長身の礼子に見下ろされると、礼子が一言も発せずとも、礼子は自分より遥かに巨大な存在に思えた。自分が地べたを這いずり回る虫けらのように思えた。慎治の全精神は卑屈に成り下がっていった。「どーお。慎治、何されるのか、分かった?」「分からない?じゃ、教えてあげる。さっき、背中は鞭打たないって約束したわよね?安心しなさい、約束は守ってあげる。だから、今度はね、慎治の脚をぶってあげる。」「そ、そんな・・・もうやめ、、、グエッ!!」慎治の哀願は礼子のブーツに軽く踏み潰された。慎治の視界一杯に礼子の乗馬ブーツの底の波線模様が迫り、爪先が慎治の口を塞ぎ、更に鼻、目も潰された。慎治の視覚も嗅覚も、礼子のブーツに奪われてしまった。ブーツの端から僅かに、礼子が鞭の先端を手繰り寄せ、二つ折りにするのが見えた。「ローキックは散々堪能したでしょうけど、鞭で腿を引っ叩かれるのは慎治も初めてでしょ?たっぷりといい声聞かせてね」慎治が恐怖に身をすくめた瞬間、ビュッという音と殆ど同時に左の内股に凄まじい痛みが走った。「ヒッ!!」慎治が悲鳴を上げる間もなく、今度は右の内股を肉が弾けるような激痛が襲った。更に左右両腿の前の方に礼子の鞭が襲い掛かった。「ひっーー!!グェッ・・・い、いだ゛・・や、ゃめぐえっ・・・」慎治は口をブーツの爪先で踏み潰され、悲鳴をあげることすらままならなかった。つぶれた蛙のようなうめき声しか出せなかった。息をするのさえ苦しかった。背中や尻を鞭打たれるのはある程度、慣れてきていた。打たれる瞬間に体の力を抜き、少しでも衝撃を和らげる術もなんとなく、身につけてきていた。だが、腿の痛みは初体験だった。肉が背中や尻に比べて薄く、しかも逆さ吊りにされていては力を抜くことなど不可能だった。礼子の鞭の衝撃は一撃毎に慎治の肉に弾けるような苦痛を刻み込んだ。骨にまで苦痛が浸みてくる様だった。しかも、鞭の長さを半分にしているため、礼子は鞭を繰り戻さず、先ほどまでより遥かに早いピッチで慎治に連打を加えていた。
