レイコとシンジ-WHIP AFTER WHIP-後編- 1
「フウッーー。礼子、どうやらゲームオーバーかしら?」「そうね。慎治はもう完全にKOみたい。玲子の勝ちね。ま、今日はまだ初日だし、今日のところはこの辺で許してやれば?」「あはっ!もう礼子ったら!優しそうなこと言って、本当はもう、早く自分が鞭振るいたくなってイライラしちゃっているんでしょ?」「あっ、わかった?さっきから玲子ばっかり楽しんじゃっててさ、ずるいよもう。乱入したくなるのを抑えるのに必死だったんだから。ね、慎治、あんたも早く、遊んで欲しいでしょ!」慎治は恐怖のあまり、声も出なかった。慎治への拷問は終わってしまった・・・。いよいよ、自分が鞭打たれる番だった。膝が正座させられたまなのに、ガクガクと震えてくるのが分かった。つい先ほどまで玲子の振るう鞭の風を切る音、玲子の高らかな笑い声、鞭が人体に苦痛と傷を刻み込む音、そして慎治の悲鳴と哀願、床をのた打ち回る苦悶の音のみが支配していた体育館は静かになっていた。聞こえる音は全身を焼け付くような苦痛に覆われた慎治のすすり泣きと美しい顔を上気させ、心地よい疲労感を楽しんでいる玲子の荒い息吹だけだった。体育館中をのた打ち回り、玲子の鞭を全身に受けた慎治の体は見るも無残な状況だった。全身に無数の痣とみみず腫れが走っていた。背中、尻等、集中的に鞭を受けた箇所は痣やみみず腫れがない場所も真っ赤に腫れていた。真っ赤な中から慎治の皮膚下で起こっている内出血が、次々と青黒い痣となって体の表面に浮かび上がって来る最中だった。
「さあ慎治、おまちどおさま。次は慎治の番よ。」礼子は傍らに正座し、目の前で繰り広げられた玲子の狂宴をたっぷりと見せ付けられた慎治に優しく声をかけた。礼子が軽く慎治の肩に触れた瞬間、慎治の全身を恐怖が貫いた。既に慎治は十分な拷問を受けていた。肉体的には未だ、何の苦痛も与えられていない。だが、慎治と同じ運命が自分を待っているのは明らかだった。自分を待ち受ける運命を見せ付けられるのは、強烈な精神的拷問だった。慎治が鞭打たれている間、慎治は恐怖に震えながら少しでも長い間、慎治への責めが続くことを祈っていた。いずれ来る運命、とは分かっていながら、少しでも運命を先に延ばしたかった。だが、その時が来てしまった。礼子に触れられた慎治は反射的に哀願しようと顔を上げた。慎治の顔は既に涙と鼻水、だらしなく垂れ流されたよだれに汚く染まっていた。「やだ、汚いわねえ…・」礼子はそうつぶやきながら、内心喜んでいた。(後責めだから玲子が楽しんでいる間、うずうずしちゃったけど、慎治がこれだけ怯えてくれるなんて、待たせるのも案外、悪くないわね)慎治は必死で哀願しようとしたが、恐怖のあまり声を発することすらできず、金魚のように口をパクパクさせただけだった。礼子は構わず、慎治の両手首を取り、しっかりと縛り上げた。
「慎治、西部劇、そう、マカロニウエスタンものって見たことある?」「あ、は、・はい…あ、あります…」「そう、私ちいさい頃ね、結構好きだったのよ。その中でね、悪役の保安官やアウトローが町の人や主人公の仲間を捕まえて、拷問やリンチにかけるシーンがしょっちゅうあったの、覚えていない?町の中心の広場で木の枝あたりに吊るして、身動きできなくして長い牛追い鞭でボロボロになるまで打ち続けるっていうシーン。慎治も見たことあるでしょ?」慎治の脳裏を幾つかの映画で見たリンチのシーンがかすめた。だが、まさか…「私、そのシーン初めて見た時、すごく興奮したの。思いっきり感情移入して、登場人物に成りきっていたのよ。そう、慎治のご想像の通り。私、リンチを加える悪役に成りきっていたの。初めて見た晩は興奮して眠れなかったくらい。自分がああやって無抵抗の人間を痛めつけたらどんな感じになるのか、知りたくて知りたくてたまらなかったわ。ああ、楽しそう・・・一回でいいからああやって残酷な悪人になってみたい…他人のことを思いっきり、拷問してみたい・・・でも、私いい子で通して来たからね、そんなことできなくて一生懸命我慢してたのよ。慎治、嬉しいわ。やっと夢をかなえられるわ。」礼子は縛り上げた慎治の両手首を、更に頭上の渡り廊下から垂らしたロープに縛り付けた。そのまま慎治を立たせると礼子はロープの長さを調節し、慎治が爪先立ちになる程度に調節した。慎治は壁際、二メートル程度のところで両手を吊るされ、無防備に全身をさらけ出していた。ほんの一歩、動くことすらままならなかった。
