JOYさんの作品「ファンタジー」<最終章>

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<最終章>

「さっきいたずらしたでしょ....車の中で....」

鏡の中の自分に心を奪われていたわたしは、突然現実に引き戻され、次の瞬間おねえ さんの言葉の意味を理解した。

「.......」 心臓が氷つき、背中に熱いものが走った。

おねえさんの手がわたしの両手をつかみ、両手を後ろに組まされた。

「悪い子ね....」

声も出なかった。

背後からおねえさんの右手が首筋を伝わり、あごをつかんだかと思うと、おねえさん のきれいな顔がゆっくりとわたしに近づき、唇を覆った。

長い時間互いの息を感じてそっと唇が離れた。

「こういうのはじめて?」

わたしは肯いた。体が小さく震えていた。

「怖い...?」

首を横に振る。

「そう....よかった....」

おねえさんはわたしの正面にまわり、軽くキスをした。

そしてわたしの首筋にそっと唇を這わせた。

「あなた好きよ...。 可愛いわ...」

わたしは目を閉じていた。

おねえさんの右手が服の上からわたしの体を撫でた。

「こういうこと好きなの.....?」

背中に手が回り、ホックと肩綬がはずされてブラが落ちた。

乳房の先端にシャツが擦れるのを感じた。

「....あっ....」

「だいじょうぶ....楽にして....」

全身の神経が鳥肌立っていた。

胸や太股を愛撫されながら、長い長いキスをした。

両膝が小刻みに震えて止まらなかった。

知らない間にわたしはシャツとパンティーだけの姿になっていた。

おねえさんがわたしの顔を覗き込んでクスっと笑った。

わたしは焦点の定まらない目でおねえさんを見た。

あの静かな目だった。

「もっと感じたいでしょ....」

おねえさんはわたしのまぶたにキスをして、立ち上がり、わたしの背後へとまわっ た。 わたしは腰が抜けて動けなかった。

背後におねえさんの気配がした。

「あっ....」

突然後ろから柔らかい布で目隠しをされた。

「あっ...いやっ...こわい....」

「だいじょうぶ...全部わたしにまかせて....こわいことはしないわ...」

背後からおねえさんの手がわたしの乳房の敏感なところをつまむ。 そしてその手がわたしの両腕をつかみ、うしろへ手を組まされた。

「縛るわよ...」

ロープが両手首に掛かり、背中のほうへ引き上げられた。 そのまま、腕と上半身を縛られて動けなくなった。

「口を開けて...」

言われるままに口を開けると、口の中にガーゼのようなものを詰め込まれた。そして 革の匂いのするマスクで口と鼻を覆われ、首の後ろでベルトが締められた。

全身が熱くなり、下半身が重たくなった

わたしは何も分からなくなり、ただ興奮していた。

おねえさんは無言だった。

ビデオの電源を切る音がした。

そして時間が過ぎた。

そばで人が動く気配がして、突然胸の谷間に刺すような冷たさを感じた。

「ンムゥウ...」

口に詰め込まれたガーゼのせいで声にならな悲鳴を上げた。

氷がわたしの体を滑ってゆく。

全身の感覚が鋭くなっている。

おねえさんの手が容赦なく体の敏感な部分に触れる。

苦しくなるほどわたしの息があがる。

わたしは叫んでいた。

おねえさんの手が太股の内側へとなめらかに入ってきた。

そして耳元におねえさんの息を感じた。

「好きな子のこと想像してもいいわ....最初だから...」

わたしは昇り詰めていた。

呼吸が乱れて苦しかった。

鳥肌立つような感覚が全身を襲う。

目蓋の裏が明るくなり、ほこりの渦が舞った。

そして、強烈な光の中で全てが弾け、何もかもが真っ白になった。

わたしは叫び続けた。

遠くに誰かの声が聞こえた。

おねえさんに車で送ってもらって、家に着いたのは一時を過ぎていた。 おねえさんは最後まで優しかったので、わたしは後ろめたい気持ちがちょっと楽に なった。なんだかおねえさんと、とっても仲良くなった気がした。そして、何事も無 かったかのように、おねえさんと別れた。試験が終わって、気が向いたら電話してと おねえさんが言った。わたしは連絡すると答えた。

母親は起きてわたしの帰りを待っていた。なにも危険なことはなかったかと尋ねて、 わたしをじっと見た。なにもない大丈夫だと答えると、黙ってスープを温めてくれ た。遅くなった事を謝った。父親にはすごくしかられるかと思ったけど、知り合った OLさんにお化粧の仕方をならっていたと報告すると、思いのほか怒りもせず笑ってい た。

「ははは...そうか、でも今後遅くなるときには必ず家には連絡しなさい。お母さ んは心配して何度も外に出て待っていたんだぞ。たまには息抜きも必要だろうが、居 所だけはきちんとお母さんに連絡しなさい。」

今後は気をつけると素直に返事をして、暖かいスープを飲んだ。

テレビでニュースを見ながら、両親と試験が終わった月末に行くスキーの相談をし た。今年は雪が少なくて、上級者コースに行かないと雪が無くて滑れないそうだ。一 緒に行く父親の会社の同僚が別のスキー場を何件も当たってくれているらしい。わた しは疲れていて眠くなったので、おやすみを言って二階へ上がった。

部屋に戻り、パジャマに着替えてベランダに出た。

気がつくと空にはめずらしく星がたくさん出ていた。

「よう!夜遊び娘!」

タツヤが窓を開けて声をかけてきた。わざとらしくハチマキをして、そこにエンピツ をさしている。

「勉強してるの?めずらしく....」

「めずらしくねえよ、毎晩血のにじむような努力をしているのよ...わたくしも。 ヲホホホ。能ある鷹はツメを隠しとかねえと、イヤミになっちゃうからな。わははは は....」

「...ばーか....」

あいかわらずバカだと思いつつ、タツヤの顔を見ると何故だかホッとした。

「ところでよ、知ってるか?今晩七万年に一度の星が流れるんだって。ああ、こうし て君とその星を見ることになるなんて....これも神様が運命の二人を導いて下 さったのかしら....ああ、神様ありがとう....アーメン....」

「.....わたしもう寝るから、次のチャンスをあと七万年待ってね。」

「おい、なんだよ、それ....おい、せっかくの奇跡をだなぁ...き みぃ....」

「おやすみぃぃ。」

「おい、おまえ....ちょっと....おまえそうやって男心をもて遊ぶとだ な....きっと将来ろくなことに....」

わたしは部屋に入り、バタンと窓を閉めてカーテンを引いた。

ベッドに入って布団をかぶり、くすくすと笑った。

「おおぃ...あと5分でさ、星が流れるぞ....きれいだぞぉ....ちょっと 出てきたらどうかなぁ....すごいぞぉ....きっと....」

窓越しにタツヤの呼ぶ声が聞こえたが、しばらくすると静かになった。 そのかわりに、タツヤの部屋から音楽が流れてきた。

わたしの好きなJohn Lennonの「Happy X’mas」だった。

聞きながら、雪が降ればいいなと思った。

いつもの嘘っぱちでも、タツヤの言った運命の星の話は結構気に入った。 本当に今夜光り輝く星が降るような気がした。

なんだか、久しぶりにスッキリとした気持ちになった。

明日の朝は早起きをして、ジョンとタツヤと散歩に行こう。

門の前で待ち伏せしてやろう。

そして、とりあえずはタツヤと一緒にゆっくりと大人になるのも悪くはないと思っ た。

<了>

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