GIMICさんの作品「Toy Boy」【8 捜査】
翌日、予想通り、紗枝が聡美を連れて陽一の席へとやってきた。
「森君、写真見た?」
紗枝は意味深な微笑みを浮かべている。
「う、うん、見たよ。」
「で、どう?」
「あ、ああ、やっぱりそこの女子トイレって感じだね。」
「でしょ?やっぱりうちの学校にあんな変態がいるのかもね。ねえ、あの男の子に見覚えとかない?」
「い、いや…ないよ。」
「そっかあ。」
「私なんか昨日30分くらい目を細めて眺めてたわよ、あの顔。な~んか知ってるような顔に見えてくるのよね、じーっと見てると。」
聡美の台詞に陽一は焦りを隠せない。
「ねえ、紗枝。あのモザイクって外れないの?あ、そういうのは森君とか男子の方が詳しいのかな、ふふ。」
「え、そ、そんなことしたことないから…」
「ほんとかなあ~。」
「ほ、ほんとだってば…」
「まあ、いいわ。信じてあげる。森君は優等生だもんね。あ、紗枝、私ちょっと発見したことがあるんだ。」
「ん、なになに?」
「あの男の子さ、手を縛られてるでしょ?最初は太めのロープだと思ってたんだけど、あれって男子の水着っぽくない?」
どきっ。陽一の鼓動が一瞬で早くなった。
「そう?でも、水着で両手縛れるぅ?」
「その辺は自信がないんだけど、色が紺色だしさ、よ~く見ると腰の紐みたいなのが写ってるんだよね。」
「ふ~ん、あ、そうだ。今日の体育は水泳だよね、ってことは森君、水着持ってるでしょ?」
「えっ、あ…うん」
「ちょっとそれ持ってこっち来てよ。」
(いいこと思いついちゃったわ、ふふ)
突然の紗枝の言葉に逆らうこともできずに陽一は鞄の中から水着を取り出すと二人の後に続いた。
そこは屋上へと向かう階段の踊り場だった。屋上へ出る扉はいつも鍵がかかっているため、ここには通常誰も来ない。
「ねえ、森君、ちょっと実験台になって。」
「えっ?」
(いやな予感がするなあ…。紗枝ちゃん、聡美ちゃんがいるってこと分かってるの?)
そう言うと紗枝は陽一から水着をひったくるとそれを聡美に渡した。
「それで手が縛れるか、聡美、実験してみようよ。」
紗枝はそう言いながら、背後から陽一の両肩を掴むとくるりと聡美に背を向けさせた。
「ほら、手を後ろに回して、森君」
紗枝と向かい合うことになった陽一の顔がこわばった。陽一の心の奥底まで覗き込むような紗枝の瞳を見た途端、両手がすっと後ろに回ってしまう。
「縛れるかなあ。」
さっそく聡美が実験を始めていた。水着をロープのように捩ると陽一の手首に絡める。しかし、片方の手首を縛るともう片方の手首を縛ることはとてもできそう にない。
「う~ん、違うなあ。」
「全然長さが足りないね。」
紗枝は陽一の両肩に手を置いたまま、半ば陽一に体を預けるようにしながら彼の肩ごしに聡美の作業を眺めていた。ちょっと見ると紗枝と陽一は抱き合っているよ うに見える。
両肩にかかる紗枝の手から伝わってくる温もりと彼女の重み、そして陽一の目の前にある紗枝の美しい横顔とさらさらと流れるような髪、さらにそこから漂ってく るリンスの残り香。紗枝に対する想いが切々と込み上げてくる。紗枝と一緒にいる ことがやはりうれしい。
後ろでは聡美が、両手を交差させ、まとめて縛り始めた。なんとか縛ることはできたが、写真とは違う。
「写真の手はちょっと離れてたんだよね。こんな風にまとめて縛ってなかったし。」
手首を固く縛られ、少し痛みすら感じた時、陽一の股間が突然熱くなった。
(あっ、ばかっ。ぼくは何を…)
「でも、両手を離して縛るとよけい長さが足りないよね。やっぱり水着じゃなかったんじゃない?聡美。」
「う~ん、水着に見えたんだけどなあ。」
「ねえ、水着で両手を縛るアイデアない?森君」
突然、紗枝が陽一の顔を覗き込んだ。
「いや、全然思いつかない。」と答えようとした時、ふいに紗枝の右手が陽一の股間に伸びた。そして、勃起したペニスを探り当てると紗枝はもう一度聞いた。
「どうやったら、あの写真みたいに縛れるかしら?」
「う、う~ん、ど、どうかなあ…」
(紗枝ちゃん、聡美ちゃんにばれるよぉ…)
紗枝の右手がさらに動き、ジッパーに手がかかった。
「さ、紗枝ちゃん…」
(いったいなにをする気なの…)
「ん?なあに?何か思いついた?」
ジッパーはすでに半分以上下げられていた。
(紗枝ちゃん、やめて…聡美ちゃんがいるんだよ…)
陽一は聡美に気づかれないように小さく首を振った。
「何か思いついたんなら教えてよ、森君。」
ここまで来て陽一はようやく紗枝の言いたいことを理解した。「水着の使い方」を教えろというのだ。ジッパーはすでに全開だった。紗枝の右手は大きく開いたその中へ侵入しようとしていた。
「え、え?…」
「がんばって使い方を考えないとあのこと聡美にばらしちゃうぞぉ~、森君。」
冗談めかした声で紗枝が陽一に話しかける。
「ん?なにぃ、紗枝。森君の弱みでも握ってるのぉ?」
「へへ、そうなんだ。あればらされるとちょっと恥ずかしいよねぇ?森君。」
「だ、誰にも言わない…や、約束だろ…」
必死で冗談を言ってるような口調になるように陽一は努力したが声が上ずる。
そして、その間に紗枝の右手はブリーフの合わせ目を探り当てていた。紗枝の少し冷たい手が熱いペニスに触れた。
「あっ…」
陽一は思わず、声を漏らす。
「何か思いついた?」
聡美が無邪気に尋ねる。
「ち、ちょっとそれ…、と、解いてくれる?」
「うん、いいよ。」
もう言うしかない。言わないと紗枝は聡美の前だと言うのにペニスを引きずり出すつもりだろう。
「ほどけたよ、森君。どうするの?」
「こ、こんなのは、どうかな…」
聡美には背中を向けたまま、陽一は水着を手に取ると、足を通すべき穴に腕を通した。「それで?」
聡美の声と同時にペニスがずるりと外気に触れた。
「こうして…あ…ねじって…」
(ちゃんと教えてるのに…、紗枝ちゃん、それ以上はやめて…)
陽一はできるだけ急いで水着をねじり、もう一方の手を穴に通した。
「あ、すごいっ!!そうだわ、こうなってたのよ。」
聡美がうれしそうに声をあげる。
奇妙な光景だった。一つ謎を解いたと無邪気にはしゃぐ聡美の面前に、実は写真に写っていた当の本人と写真を撮影した紗枝がほとんど同じ格好をして立っている のだから。
「ほんとね。写真と全く同じ状態みたい」
紗枝の右手がペニスを握り締める。あの時と固さまで同じかどうか確かめるように。「彼は水着を持ってトイレに入ったのね。あ、水着なんだから、それを 穿いてくれば途中で見つかっても誰も怪しいとは思わないよね。とすると体育の授業中にやったってことかなあ?」
聡美が腕組みをして次の推理を楽しんでいる。
陽一はいても立ってもいられない状態だった。もし、ふいに聡美が陽一の前に回ったりしたら…。
陽一は聡美に気づかれないように表情で紗枝に訴えた。
(紗枝ちゃん、お願い。早く元に戻して…)
「体育の授業中ね、いい線かもね、聡美。あの紐が水着じゃないかって写真から見抜いた聡美もすごいけど、どうやって縛ったのかを簡単に思いつくなんて、さすがは森君ね。けっこう頭もいいのね。」
陽一の懇願を無視して紗枝は陽一に微笑みかけた。
(こうやって、どんどん自分がした恥ずかしいことを白状するのって楽しいでしょ、陽一君。)
「そ、そんな…頭がいいだなんて…」
聡美に気づかれないことが今の至上命題だった。陽一は必死に「普通の会話」をしようと努力していた。
「ほんと、ほんと。紗枝の言うとおりだわ。私、森君のこと、ますます見直しちゃった。」
「この変態君を捕まえたら、森君になんかおごらないといけないね、聡美。」
「うん、おごっちゃうよ。そうだ、犯人を捕まえたら、3人でうちあげに行こうよ。」
「そうしようか、森君。」
「え、そ、そう?悪いなあ…」
陽一がそこまで言った時を見はからったように、紗枝は亀頭を人差し指でなぞった。
「あぅ…」
ペニスがびくびくと震えた。それにつれて陽一が必死にこらえようとしたにもかかわらず腰までごまかしようがないほど大きくびくりと動く。声まで漏らして しまった事で陽一は慌てた。
(あーっ、聡美ちゃんにばれる!)
「ん?どうしたの、森君?」
「あ、いや、なんでもないよ。そ、その、ちょっと腕がいたくなってきたから、そろそろ解いて…」
聡美が陽一の表情を窺うような素振りを見せたので、陽一はまくしたてるようにそう言うと両手を聡美の方へと突き出した。
「あ、ごめ~ん。すぐほどくから。」
(あら、陽一君。うまくごまかしたねぇ。まあ、いいわ。今日はこの辺で勘弁してあげることにするわ。)
紗枝は亀頭をなぞった指を見つめ、べっとりと粘液がついているのを確認した後、聡美が視線を陽一の手首に落としている隙を狙って、その指を陽一の口の中に押し込んだ。陽一の口に少ししょっぱい粘液の味が広がる。
「ごめんね、森君。こんな変態みたいな格好させて。でも、また協力してね。」
紗枝は指に絡まる陽一の舌を感じながら、そう言った。
「ああ、やっと取れた。あ、なんか水着がくしゃくしゃになっちゃったね。ごめんね~。」
聡美がそう言いながら陽一の方を見た時、ズボンのジッパーはすでに上げられていた。
