ひろじんさんの作品「あるM男の奇妙な告白」(2)
事件より数日後、沙織様は実家から私のマンションに移ってきました。
私のマンションの方が沙織様の通う学校に近いということが、
親を説得する格好の理由となりました。
また私と違って、子供のときから常に優秀で出来が良かった沙織様に
私達の両親は滅法甘く、普段から言いなりだったのです。
無論、私に否やはありません。
私のマンションは一応2DKなので、私はそれまで寝室に使っていた
広い方の部屋を沙織様に空け渡して隣の小部屋に移り、
謹んで私のミストレスをお迎えしました。
こうして沙織様と私の奇妙な同居生活は始まったのです。
初めの頃、私は毎日のように沙織様より厳しい折檻を受け、
泣いていたものです。
沙織様はもっぱら素手での体罰を好みました。
実際、体格と体力において私をはるかに凌駕する沙織様の肉体は、
私にとってはすでに充分な凶器です。
殴る、蹴るから始まって、どこで覚えたのか、様々なプロレス技まで
繰り出してくる沙織様の暴行に、私は息も絶え絶えになるのが常でした。
呑み込みが遅く、要領の悪い私が、奴隷としていたらなかったため
であることは、言うまでもありません。
ただ同時に私を沙織様に完全に服従し、その一挙一動に敏感に
反応する自分好みの奴隷に仕立て上げるという教育的意図が、
沙織様に働いていたことも確かでしょう。
現にいまでは、私は沙織様からちょっと睨まれたり、叱られたり
しただけで目が潤んでしまうほどです。
炊事、洗濯、掃除、買い物など家事の一切は、もちろん私の受け持ちです。
私も3年間の1人住まいでそういったことは一通り心得ていましたし、
元々、大して苦にならない性質でした。
ただ以前と違って手抜きは断じて許されないため、比較にならない位、
真剣にかつ緊張して行うようにはなりましたが。
たとえば朝は大体こんな風です。
私は沙織様より少なくとも1時間は早く起きて、朝食の用意をします。
やがて時間になると、私は沙織様の部屋に入り、恐る恐る沙織様を
起こしにかかります。
私としては、猛獣の檻、それも眠れる獰猛な牝虎の檻の中にいるような
心境です。
というのも沙織様は寝起きは非常に機嫌が悪いのです。
また一旦目覚めたかと思うと、再び布団をかぶって寝てしまうことも
よくあります。
こういうとき私は本当に困ってしまうのです。
私がなおも起こし続けていると、身の縮むような怒声を
浴びせられることなどしょっちゅうです。
さらにいきなり拳固や蹴りが飛んでくる場合さえあり、
まともに食らった私が壁まで吹っ飛ばされたこともあります。
かといってそのまま起こさないで立ち去ると、後でこっぴどく
叱られるのです。
私も最近になってようやく沙織様にうまく起きてもらうコツを覚えて
きたものの、それまでは毎朝、相当な苦労をし、恐い思いをしたものです。
沙織様が洗顔などを済ませて戻ってくるまでに、私は朝食をワゴンに
載せて部屋に運び入れます。
戻ってきた沙織様は、早速、朝食を摂り始めます。
私は沙織様が食事をしている間中ずっと、エプロンをつけたままその傍らにはべっています。
そして沙織様の給仕をしたり、夕食や買い物についての指示などを
承ったりするのです。
沙織様が朝食を終え、テレビを見ながら食後の休憩を楽しんでいる間、
私は大忙しです。
私は急いで台所に行って朝食をかきこみ、食事の後片付けをし、
出勤の支度を済ませます。
そのあと私は沙織様の着替えを手伝わなければならないからです。
これはまた私にとって毎朝の大きな楽しみでもあります。
私が制服を持っていくと、沙織様は着替えを始めます。
下着姿の沙織様のそばに内心の興奮を必死に抑えて控えつつ、
私は脱いだキャミソールを丁寧にたたんだり、スカートを履くのを
手伝ったりします。
制服を着終わってベッドに腰掛けた沙織様の足下に跪いてソックスを
履かせるのも私の役目です。
それも終わると、私は正座したまま沙織様に深々とおじぎをし、
1足先に部屋を出て会社へ向かいます...。
これが私達の日常的な朝の風景です。
夜についても同様であることは言うまでもないでしょう。
朝であれ、夜であれ、私が沙織様の忠実な下僕として隷従と奉仕の生活を
送ることに変わりはないのです。
沙織様と同居するようになってから、私の経済生活は消滅しました。
というよりも私は何ら所有するものを持たない沙織様の一匹の奴隷
となったのです。
私のわずかばかりの貯金も、毎月の給料もすべて沙織様のものです。
私にとっては実に有り難いことですが、沙織様はもう例のシステムでの
バイトをやめてしまいましたので、これでも物足りないくらいでしょう。
私には最低限必要な出費分のみが、沙織様より適宜支給されるだけです。
しかし私はこの状態に不満を持っているわけでは決してなく、
逆に当然だと思っているのです。
奴隷である私のものはすべて主人である沙織様に捧げられるべきであり、
そもそも私自身が沙織様の所有物の一つに過ぎないと言ってよいのですから。
また私が今の会社で働いていられるのも、実は沙織様のおかげなのです。
私の勤めている会社は、ほとんど歩合制と言っていいほどの割合で
当月の実績が翌月の給料に反映する上に、業績不良がただちに左遷や
解雇につながる厳しい社風です。
しかし沙織様との生活を始めてから、私はすっかり仕事が手につかなくなり、
おまけにひどいポカまでやらかしてしまったのです。
翌月受け取った給与明細を見て、私は血の気が引いていきました。
そこには前月の1/5の数字が記載されていたのです。
控除される分を引くと、無きに等しい金額です。
沙織様から半殺しにされる自分の姿が、ありありと私の目に浮びました。
その日私は帰宅してすぐに、沙織様に黙って給料明細を渡すや、
土下座して額を床にこすりつけたのです。
沙織様の鉄拳制裁がいつ開始されるかと、私は生きた心地もせず、
ぶるぶる震えていました。
明細を見終わった沙織様が隣にしゃがみこんだとき、
私はすでに半べそをかいていました。
ところが沙織様はゆっくりと穏やかな動作で、這いつくばっている
私の面を上げさせたのです。
それからいたって冷静な態度で私にことの経緯を説明させ、
さらに続けて私の会社や仕事についてもあれこれ質問したのです。
そのとき沙織様の大きな瞳に宿っていたのは、怒りではなく、
私に対する憐れみのようでした。
質問を終えた沙織様はしばらく思案していましたが、やがて
仕事のことは何とかするから心配しないようにと私に告げました。
私はわけがわかりませんでした。
しかし思いがけない沙織様の優しさと覚悟していた激しい体罰を逃れた
安堵で、私はおもわず沙織様の膝に縋って泣き崩れてしまったのです。
沙織様はむせび泣く私の頭を撫でながら、しばらくそのままにさせて
おいてくれたのでした。
そして翌日、会社ではとんでもないことが私を待ち受けていました。
私どもでは出入りもかなわないような大企業から、突然、
長期にわたる大規模な取引の申し込みがあったのです。
担当者を私にするということが、先方の要求する唯一の条件でした。
信じられないおいしい話に、会社中がお祭り騒ぎとなりました。
昨日までのダメ社員から一躍、英雄となった私に、破格の特別賞与が
支給されることも即座に決定されたのです。
私は前夜の沙織様の言葉を思い出していました。
私自身にはまるで思い当たるフシがなかったのです。
定時になると同時に、私は上司や同僚のお祝いの誘いを強引に振り切って、
一目散に自宅へ向かいました。
帰宅するやいなや、息せききってわけを尋ねる私に、沙織様は
なんでもないことのように事情を説明したのです。
沙織様の説明を聞いて、私は納得しました。
沙織様は先方の重役の1人と例のシステムを通じて知り合い、
一時期、専属奴隷まで務めさせていたのです。
その重役に沙織様は今回の話を依頼したというわけでした。
私は沙織様との再会の日に感じたあの感覚、自分が沙織様の掌で躍る
朱儒であるような感覚に再びとらわれました。
そしてまたあのときと同じように、畏怖と崇敬のまなざしをもって
沙織様を見つめていたのです...。
それ以来、私の会社での評判は上々です。
実際、私自身も以前とは見違えるように仕事に精を出しています。
この一件は私を奮起させ、改革したのです。
少しでも沙織様の役に立ちたい、認めてもらいたいという気持ちが、
いまの私の心の支えであり、原動力です。
ここまでで私達の関係がどういうものか、また私達の間でどのような生活が
営まれているのか、おおよそわかって頂けたのではないでしょうか?
ただ私がまだ語り残している重要な部分、すなわち沙織様及び私の性生活に
興味を抱く方もおられるかと思います。
最後にそれについてお話することにしましょう。
いまどきの女子高生らしく、沙織様はノーマルなSEXについても
月に数回位の割合で気軽に、それなりに楽しんでいます。
沙織様に特定の彼氏はいませんが、SEXフレンドは何人かいます。
みんな高校生から大学生位の沙織様と同年代の少年達です。
なぜ私がこんなことを知っているかというと、沙織様が自宅でのSEXを
好むからなのです。
沙織様はよく彼らをうちに呼んだり、連れてきたりします。
このとき私が居合わせた場合は、嬉しさと悔しさ、その他色々なものが
入り混じった複雑な感情を味わうことになります。
私は沙織様の部屋の押し入れに押し込められてしまうのです。
沙織様と少年がSEXをしている間中ずっと、私は押し入れの中で
その一部と化したようにぴったりと戸に張りついています。
2人の会話やあえぎ声、さらに一切の物音を聞き逃すまいと、
私は息を殺して耳をそばだてています。
そして薄戸一枚隔てた向こうで繰り広げられている淫靡な行為や姿態を、
必死に思いめぐらすのです。
このときの私の狂おしく、かつ奇怪な心情を、どうかご想像になって
みてください。
いつぞやは感極まった私がうめき声を漏らしてしまい、
後で沙織様から大目玉を食ったこともあります。
またこの押し入れでのひとときは、私にとって未知の快楽に触れる
唯一の機会でもあります。
お気づきかと思いますが、私は童貞なのです。
私が童貞であることを告白したとき、沙織様は何とも言えない微笑を
浮かべて私を見つめていました。
続いて沙織様の口から私の運命を決定づける一言が発せられました。
沙織様は一生、童貞であり続けることを私に命じたのです。
命じられるままに、私は沙織様に生涯童貞の誓いを捧げました。
私にはもはや、女性とのSEX、および恋愛や結婚に対する未練は
なかったのです。
しかも1週間程前から、そうしたことは物理的にも不可能となっています。
なぜなら現在、私は沙織様から貞操帯を嵌められているのです。
沙織様が女王様時代の知り合いを通じてオーダーメイドした
常時装着を前提とする本格的な錠付きステンレス製貞操帯です。
沙織様に貞操帯の使用について告げられたとき、私はそれこそ
なりふり構わず沙織様の慈悲を乞いました。
なにしろ日に1度のオナニーを欠かさなかった私が、これによって
射精はおろか、勃起すらかなわぬ状態に置かれてしまうのです。
しかし哀願も空しく、沙織様の手によってこの恐るべき贈り物は
私の股間にあてがわれ、カギがかけられたのです。
装着後すぐに著しい効果があらわれました。
沙織様の支配を常に身近に感じると共に、沙織様に対する崇拝と
憧憬の念が日毎に高まる一方なのです。
身も心も、すべてを沙織様に捧げたいという激しい思いが、時として
大波のうねりのように私に押し寄せます。
今では私は貞操帯をつけてくれたことを沙織様に感謝しているのです。
沙織様が貞操帯のカギを開けてくれるのは、原則として月に1度きりです。
ただし沙織様の気が向いたときに、ご褒美として外してくれる場合も
あることになっています。
そして貞操帯から解放されるこのときばかりは、私は沙織様に手伝って
もらって好きなだけオナニーに耽けることが許されるのです。
たとえば脚を舐めたり、胸に抱かれたり、お尻に顔をうずめたり、...。
ご褒美欲しさに私が沙織様に一層の忠勤を励むようになったのは
否定もしませんが、”解放日”については私は努めて意識しないように
しています。
その歓喜を想って暮らせば、私は気が狂ってしまうに違いないからです。
代わりと言っては失礼かもしれませんが、私はこうして皆さんに
告白してきました。
この告白は、自慰を封じられ、現実において劣情をはらす術を持たない
私にとって、せめてもの慰めであり、カタルシスなのです。
意外に感じる方がほとんどかと思いますが、沙織様はいまだに私のことを
”お兄ちゃん”と呼びます。
沙織様と私が全くもって女主人と奴隷の関係にあることは、
これまで話してきた通りです。
逆に私達ほど身分に隔たりのあるSMカップルも、そうはいないのでは
ないでしょうか?
それでいて私と沙織様が兄と妹であることもまた紛れもない事実です。
沙織様からすれば、飼い犬をいつもの名前でポチと呼ぶように、
単に昔から言い慣れた呼び方を使っているだけなのかもしれません。
あるいはそう呼ばれたときに私が感じる倒錯の快感、
優越と序列の逆転によって生じる快感を、もしかしたら沙織様も
味わっているのかもしれません。
いずれにしろ、沙織様はどう振る舞おうと全く自由です。
しかし私に自由はありません。
沙織様は完全に私を奴隷として扱いますし、また奴隷の身分からの逸脱を
決して容赦しないことは、私がすでに身をもって学んだところのものです。
それでもいま私は幸せです。
若く美しく、強く賢く、すべてにおいて私より優れ、生まれながらに
男を支配する力を備えた女性に、下僕として側近く仕えることのできる
喜びが私の心を満たしています。
そしてそんな素晴らしい、最高のミストレスが自分の実の妹であるという
幸運を、私は神に感謝せずにはおられないのです。
まさに私は妹の奴隷となるために、兄として生まれてきたのです。
沙織様、私はあなたに永遠の忠誠と従属を誓います。
私は本当に幸福なM男です。
