変な夢
黒革の首輪と一体化したアームザックで、両腕を後ろで、ひきしぼるように拘束された男は、胸をせいいっぱい張った姿勢を、強いられていた。
コルセットのような首輪のせいで、男の顔は、完全に上をむかされていた。
アームザックの先端の金属リングには、両足首をつないでいる足かせの鎖が通され、男は、立ちあがれないようにもされていた。
そして、その正面には、あの雑誌の表紙を飾っていたSMの女王様が、いまにも乗馬鞭を打ちおろしそうないきおいで、ピンヒールで仁王立ちに、立っていた。
その女王様の眼はつめたく、身動きもならぬほど拘束された男を、見おろしていた。
女王様が、鞭を振りあげる。
男の身体がぶるっとふるえ、皮膚に筋肉のすじが浮きあがった。
しかし、男のむき出しの股間は、怒張していた。
ぼく自身も、われしらず、勃起してくるのを感じた。
女王様は一片の容赦もなく、力いっぱい鞭を振りおろす。
男の身体が、揺れた。
「おおーう」
そのおめきとともに、男の口から唾液がしぶいた。
男は、Oリングギャグで、言葉も封じられていたようだ。
女王様が、容赦なく鞭を振りおろすたびに、身をかわすことのできない男の身体は、揺れ、ふるえ、おめき声とともに、唾液をしぶかせた。
ぼくは、その男への羨望に、股間を限界まで、怒張させた。
あの男のように、ぎちぎちに革や金属で拘束され、あの美しい女王様に、思いっきり鞭うたれたい。
と、突然、ぼくの目の前に、女王様が、鞭を振りあげて、立っていた。
ぼくは、あの男の目線で、女王様を見あげていた。
身体のいろんなところが、熱くほてって、じんじん痛んだ。
いやな汗で、全身がぬれていた。
女王様はまた、鞭を、力いっぱい振りおろす。
「おおーう」
ぼくは、あの男と同じように、おめいていた。
ちがう、と叫んだつもりだった。
鞭は、アームザックの革をこすって、わき腹の、ぎりぎり肋骨のある部分に、はいった。
「がはっ」
ぼくは、あまりの痛さに身をよじった。
ぎりり、鎖がきしんだ。
肺からしぼり出された空気で、唾液がしぶいた。
そして、ぼくの顔に降ってきた。
女王様は、間をおかず、鞭を振りあげる。
「うううっ」
ぼくは、身をよじって、さけようとした。
が、革と金属で、胸を突きだし、顔を限界まであお向きに、ぎちぎちに拘束された状態では、さけようもなかった。
アームザックと足かせをつないだ鎖が、がきっと鳴り、ぼくを逃がさなかった。
ぼくは、望みどおり、あの男と同じように、拘束具でぎちぎちに拘束され、あの女王様に、めいっぱい、鞭うたれている。
そして、ぼくの股間は、あの男と同じように、ぱんぱんに怒張していた。
女王様がぼくにむかって、鞭を降りおろす。
ぼくは、逃げられないのをさとって、来たる痛みに、身がまえる。
ぼくの身体は、ふるえた。
自然に力がこもって、ぶるぶるっと、ふるえるのだ。
あの男と同じように。
女王様の腰をしめあげているコルセットは、サテン地にこまかい刺繍のほどこされた赤紫のコルセットだった。
女王様の美しい、容赦なくぼくを鞭で打ちすえるために、ピンヒールで踏んばった、力感のこもって、まっすぐのびた脚は、繊細な絹の黒のストッキングにつつまれていた。
それらの質感が、ありありとわかった。
手の届きそうなところにある、それらの質感を、触れて確かめてみたかったが、それはゆるされないことだった。
女王様は、それら以外は、身につけていない。
女王様の、仁王立ちのむき出しの股間が、ぼくのすぐ目の前にあった。
そのうすく、ふわふわしていそうな恥毛におおわれた、女王様の裂け目は、ぬれている。
彼女も、感じてるんだ。
そのぼくの思いを、罰するかのように、次の鞭の衝撃が、脊髄を駆けのぼり駆けおりた。
「おおーう」
ぼくには、おめくことしかできない。
ぼくは、口から唾液をしぶかせ、それがまた、ぼくの顔に降ってくる。
ぼくの顔面は、自分が吹きだした唾液と、涙で、ぐっしょりだった。
女王様は、それでも、ぼくをゆるしてはくれない。
ゆるされることを、ぼくが望んでいないのを、わかっているからだ。
全身の筋肉が、ぎゅっと硬直する。
革の拘束具がきしむ。
鎖が鳴る。
「はああう」
ぼくはこらえられず、発射してしまった。
ぶわっと、全身から、汗が吹き出した。
全身、いたるところに残っている、鞭あとの痛みや、じんじんするのをもう通りこしたほてりが、いっきに意識にのぼってきた。
ぼくは、悲鳴をあげたかった。
が、身体に力が入らず、声にならなかった。
女王様はまた、鞭をぼくにむかって、振りおろす。
「はああう」
これは、ぼくが、やっとふりしぼった、悲鳴だった。
涙が止まらない。
身体のふるえが、とまらない。
怖くても、鞭から目をはなせない。
「うううううん」
ぼくは、身体を必死にゆすって、女王様にうったえた。
なにを。
自分でも、わからない。
それが、女王様に伝わらなかったことは、たしかだ。
女王様がまた、鞭を振りおろす。
「うううううん」、
その鞭が、さっきの鞭あとにちょうど、入った。
その痛みが、いっきに、全身、皮膚一枚下を駆けめぐった。
脳を下から、突きあげられた気がした。
なぜだか、大量の唾液が、口の中にあふれた。
その一部が、口の端からあふれ、あごからしたたった。
ぼくは、失禁していた。
ぼくはだらだらだらしなく、膀胱のなかみをぶちまけた。
気が遠くなった。
ぼくは、目を覚ました。
