かさじぞうさんの作品「せい子第5-2話」
2奴隷は、上記内容による宣誓をした後、女王の前で膝まづいたまま必ず女王の指示にしたがって、女王の靴又は足の指に口づけをしなければならない。
3前2項の行為が終了し、女王が、女王と奴隷の身分の違いを思い知らしめることを目的として奴隷の顔面にツバを吐きかけることによって、調教は開始されることとする。ただし、奴隷がスムーズに宣誓できない場合には、女王は、奴隷に対し、その都度、蹴り、踏み付け、往復ビンタ、ムチ打ち等、制限なく、かつ、情け容赦なく罰を与えることができる。
4奴隷は、女王の前で射精する場合は、たとえいかなる場合であっても、女王に対する感謝と服従の誓いを明言しながら射精しなければならない。
5奴隷は、調教終了時や解放による退室時には、女王の足元に平伏しての感謝の言葉の表明や挨拶を欠かしてはならない。
6奴隷において前5項に明らかに背くと認められるような行為を為した場合たとえいかなる理由があろうとも、女王は、奴隷を拷問にかけることができる。背信行為かどうかの判断は、女王が独断でこれを行う。
第5条(奴隷の自慰義務)
奴隷は、調教の行われない日においても、1日に最低1度は、自分が女王の奴隷であること、及び女王に対する永久の絶対服従を心に誓いながら、女王による調教を思い浮かべながら、あるいは女王の肖像を前に自慰を行わなければならない。
第6条(奴隷の売買・譲渡・貸与)
女王は、自由に何ら制限なく奴隷を売買・譲渡・貸与・廃棄することができる。
第7条(その他)
女王と奴隷との間におけるその他の事項についての審理・判断・決定は、女王の専権事項とする。
奴隷に何の権利もないのはごく当たり前のこと・・・・というせい子の考えを前提として作成されたこの契約書は、それよりもむしろせい子の奴隷としての礼儀・作法・注意といった事項に比重を置いて作成されたものである。
孝一は、自分にとっては屈辱的な、かつ、絶望的な契約内容であることを思い知らされながら、しかし、憧れ続けてきたせい子の奴隷としての自覚から、せい子が自分に何を求めているのかを把握しようとしながら読み終えると、せい子から手渡された万年筆で、契約書の最後のページをファイルから取り出し契約当事者が自筆するべき署名欄に自分の住所、氏名、生年月日、電話番号、携帯電話の番号、メールアドレス、勤務先とその電話番号を記入した。記入を求められた事項のひとつひとつを書き込む孝一の手は、心なしか震えていた。
孝一が署名する前にせい子が孝一の実印で署名欄に押印していたので、孝一が改めて押印する必要はなかった。
せい子が自筆すべき部分はすでにすべて記入されており、せい子の実印による押印もなされていた。孝一は、せい子がこの契約を締結するためにしたであろう準備に対して、せい子のここまでやるほどの真摯な姿勢からもう自分は生涯逃げることは許されないだろうということを察した。
「そのファイルはね、おまえを所有する者として、おまえのデータや調教記録をすべて残しておくために準備したのよ。
契約書に始まって、これからおまえの身体検査の結果も残すわ・・・・・パソコンにも同じデータを残すわ。
再会した日にデジカメで撮ったおまえの惨めな写真もパソコンでいつでも見れるようになってるわよ。
見たい?・・・・・そうだ!・・・フフフ・・・・おまえのパソコンの壁紙やスクリーンセーバーも仁王立ちの私の写真と惨めな姿のおまえの写真に変えなさい!・・・・・おまえはそれを見ながら私への服従を誓いながらオナニーするのよ・・・・フフフ・・・・再会した日におまえの告白を一言も漏らさず録音させてもらったけど、それだって反訳ソフトで文章化してあるのよ・・・・今日からはビデオカメラでも写すわ。
おまえにもらった日記だって、スキャナで読み込んで、毎日メールしてあげる。
おまえが私への想いを10年も日記に綴ってくれていたんだから、今度は、私が毎日1日ぶんずつ10年間メールで送信してあげる・・・・でも、おまえはおまえで、今日以降も日記は付けなくてもいいから、私への想いを毎日メールしなさい。
おまえが憧れの私を想って毎日しなければならないことはふたつ!・・・・ひとつはメール、もうひとつはオナニーよ!」
自分の前で正座を続けている孝一の面前で、必要以上に大きな声でからかうようにそう言うと、せい子はのけぞるような姿勢でしばらくの間笑い続けた。
「・・・・・せい子女王様、ありがとうございます。私は毎晩欠かさずせい子女王様を拝みながらオナニーをし、憧れのせい子女王様に対する想いをメールさせていただきます!」
笑い終えたせい子は、孝一にファイルの続きを見るように促した。
ファイルの続きのページをめくっていくと、孝一のぺニスのサイズについての記入欄まである身体の各サイズのチェックリストなどが数ページに渡って続いていた。
これから、このチェック欄をひとつひとつ埋めるべく、いろんな検査や測定が行われるのだろう・・・・などと思いながら、孝一は見終わったファイルをせい子に返した。
記入し終えた奴隷契約書に記入漏れがないことを確認すると、せい子は、孝一から奪い取ったセカンドバッグから抜いておいた孝一の身分証明書や免許証戸籍謄本などと照らし合わせて、記載事項が間違っていないかを念入りに確認した。
携帯電話については、自分の携帯から孝一の携帯にかけてみたり、孝一の自宅の電話については、孝一の声で留守である旨のメッセージが流れたことも確認した。
せい子としては、全ての基本であり最も重要な位置付けとして考えている契約書に、もし虚偽の番号や記載がなされていれば即刻孝一を拷問にかけるつもりでいた。
ファイルを本棚に戻し、房ムチとビデオカメラを手にせい子は、ソファの前で正座の姿勢で待っている孝一の前で、優雅な身のこなしで再びソファに腰を下ろした。
「孝一!奴隷としての宣誓をしなさい!」
契約書の中にあった宣誓文を思い出しながら宣誓を始めたものの、どうしても思い出せなかったり、何度も何度も間違えたりして、その度にムチで肩や背中をしばかれたり、頬にビンタを食らわされたり、ツバを吐きかけられたりしながら、また最初から宣誓し直しをさせられて、長い時間をかけてようやく何とか宣誓をし終えた孝一は、これも契約書にあったように、せい子の命令によって、今は裸足の状態のせい子の両足の指の一本一本に、丁寧にキスをした。
その一連の宣誓儀式が終了した後で、せい子は、孝一に手綱付きの首輪をはめながら言った。
「さあ、練習はおしまい。これから本番よ。ビデオで撮るから、カメラに向かってきちんと宣誓しなさい!・・・・・あれだけ練習したのにまた間違えたらたっぷりとお仕置きしてからまた撮り直しよ!」
孝一は、ビデオカメラの前できちんと正座をさせられ、カメラから視線を外すことを許されないまま、せい子に対する絶対服従の宣誓をさせられた。
練習の時よりは間違える回数は減ったものの、何度かの間違いの度に撮影を中断したせい子に罵倒されながらムチ打たれ、腹を蹴飛ばされ、そして、明らかに必要以上だと思えるくらいの回数のスパンキングの雨を降らされたが、実は、それは、孝一の姿をビデオに収めた際の映像効果を考えての、せい子の演出でもあった。
ビデオ撮影による映像では最初から最後まで宣誓がスムーズに言えたものだけが保存された。
しかし、せい子はビデオ以外に声だけを録音しており、こちらの方はうまく言えなかったものも含めてその一部始終が録音されて残された。
せい子にとってはこれらはいずれも孝一の所有者として孝一を支配下に拘束しておくための手段のひとつに過ぎないのだ。
ビデオ、写真、録音、パソコン、書類といったせい子の執拗なまでの拘束に一方では得体の知れない恐怖すら感じながら、もう一方では天性のサディストに捕われた自分の今後のマゾ男としての願望の実現を夢見ながら、そして、再会した二人のこれが予め定められていた宿命だったのだという覚悟にも似た気持ちの整理をつけながら、宣誓のビデオ撮りを終えた孝一は、ビデオカメラの前で正座をしたまま、しばらくの間、頭を垂れてうなだれていた。
孝一という素質十分なマゾ男の精神と肉体の全てを生涯所有し支配する権利を手に入れたせい子の人生が、今、燦然と輝き始めた。そして、どこまで輝きが増していくのかは、せい子自身ですら想像がつかないことだった。
(せい子・第5話・完)
