かさじぞうさんの作品「せい子第7-1話」
孝一の部屋にいる時のせい子は、孝一の部屋を自分の部屋のように扱い、孝一の持ち物を自分の持ち物のように扱った。孝一を縛り上げて部屋の隅に転がしておき、孝一の存在を無視してひとりで好きなようにくつろいだり、防音設備が弱く大声を出せないのをいいことに、全裸で縛りあげた孝一の身体のいろんな部分をネチネチと責め、声を押し殺して身もだえしながら耐えている孝一の惨めな姿を見て楽しみながら時間を過ごすということも多かった。
せい子が予告することなく孝一の部屋を訪れた場合、孝一が部屋にいる時は孝一はたとえ何をしていようと中断し、足早にせい子の元へ駆けつけ、平伏し無礼を謝まり、ペナルティを覚悟しなければならなかった。また、孝一が留守だった場合、床の上に孝一のアルバムが無造作に開かれ、写真に写っている孝一にツバが吐きかけられていたり、テーブルの上に、その日に着用していたものと思われるせい子の下着が、まるで孝一を誘惑するかのように置かれているということもあった。
孝一にとって欠かすことの許されない日課がさらにあと二つあった。
ひとつは「毎日欠かさずせい子にメールを送ること」、そしてもうひとつは「せい子を想いながら、せい子の奴隷であることと絶対服従を声に出して誓いながら、最低一回はオナニーをすること」である。
この二つの日課は、「二つでひとつ」という色合いが濃かった。孝一の中でこの二つの日課は、自分の時間の中でなすべき行為の中で最も重要なものとなっていた。
孝一はせい子に対する想い、せい子の奴隷であることとその決意、絶対服従の誓いなどを、毎日欠かさず文章化してメールするようにせい子から命じられていたが、メールを送信する時間としては、いつもオナニーをした後としていた。せい子からは、オナニーの具体的に状況、つまり、せい子とのどのような場面を想像して果てたのか、また、せい子に対する誓いの言葉として声に出して何と言ったのか、といったことについても報告するよう求められていた。
したがって、孝一としては、せい子に対する想いを文章にし、その過程でさらに想いが高まり、想像や願望が激しくなり、そこからオナニーを始め、せい子に対する宣誓を声に出しながら果てた後、その報告も兼ねてメールを作成し、送信するというのが、お決まりの行程だった。
孝一は、果てた直後でたとえせい子に対する気持ちが萎え、メールを送信する気持ちに迷いが生じることがでてきたとしても、萎えかけた気持ちを機械的にコントロールし、「自分がせい子の奴隷であること、及びせい子に対する絶対服従が自分の宿命であること」を自分の心理に言い聞かせて、高ぶった自分の気持ちに従って作成したままのメールを、そのまま作り変えることなく送信した。
孝一には毎日メールを送信することが義務付けられていたが、毎日送られてきたメールをせい子が毎日その都度目を通しているとは限らなかった。
せい子は孝一から送られたメールを何日分かまとめてチェックすることも多かった。
送信日時が記録として残るため、孝一は、いつ読まれるかはわからないが、決して一日一回の送信をサボることはできないという状況に置かれていた。
孝一のせい子に対する想いを赤裸々に綴ったものとしては、二人が再会するまでの間の想いについては孝一からせい子に贈られた日記があり、再会後、女王と奴隷の関係になってからの想いについてはメールがある、という状態ができあがった。
毎日メールとオナニーを強いることはせい子にとって、孝一に対する精神的心理的服従を強いるための有効な調教手段のひとつとなっていた。
ある平日の朝、孝一がせい子からのメールをチェックしたところ、せい子が準備している英会話教室が差出人であり、あて先が孝一の勤務先である事務機器販売会社の孝一が所属している営業部あてとなっている「貴社および担当社員に対するクレーム」と題するメールが、孝一に対しても午前2時という深夜の時間帯に到着していたことがわかった。
孝一は嫌な予感がした。
メールの内容は、せい子と孝一の関係のことではなく、せい子が孝一の勤め先からパソコンと一緒に購入したパソコン用の椅子の不具合についての苦情と修理依頼だった。
しかし、個人非難ともとれる孝一に対する侮辱的な文章も多く、また、せい子との関係から、会社に相談せず独断で商談を進めた部分もある案件でもあったので、今になって会社に知られると都合が悪いという孝一のあせりもあり、孝一は必要最小限の身支度を終えると、このメールがせい子による調教メールなのかどうかを考える余裕も落ち着きもないほどに急いで会社へ車を飛ばした。
