かさじぞうさんの作品「せい子最終話」
せい子・最終話「崇拝」
長い時間が経過した。
パーティー会場の照明が灯され、せい子による執拗な調教によって本性を何一つ隠すことなく露わにした孝一のすべてを記録したビデオを見終えた5人が会場に戻って来た。
孝一はまるで細長いこたつを連想させるような大きなローテーブルの天板に全裸のまま手足をそれぞれ一番近いコーナーにロープで縛りつけられ、アルファベットのエックス字形の姿勢で張り付けられていた。どちらかというと背が低い方である孝一よりも天板の方がさらに少し小さかったので、背中を少し反らせるような姿勢で孝一は固定されていた。
ローテーブルに縛り付けられている孝一の視界には二つのものが見えていた。
ひとつは、横たわっている自分の目の前を覆っている、今自分が張り付けられているローテーブルの天板よりもふた回りほど大きな天板を持ち、通常の高さの脚を持つ大きなテーブルである。
孝一はこのテーブルの下に隠すように置かれている小さなローテーブルに縛り付けられているので、今、孝一に見えているのは自分を覆っている大きなテーブルの天板の裏側ということになる。
大きなテーブルの天板の上からは、講師らがおしゃべりをしながらお菓子を食べたり、飲み物を飲んだりしている音が聞こえている。
孝一から見えるもうひとつのものは、あるものは芸術的な鋭利さを持ち、またあるものは肉感的な魅力を発している講師らの脚であった。
このパーティーは立食の方式で行われているため、講師らは立ったままあちこちに動き、時には全員で、時には小人数での会話を楽しむために話相手を変えたりしていた。そんな講師らは全員ヒップラインが思い切り強調されるくらいにタイトなスカートを履いており、生脚を露出している者もあれば魅惑的な色や素材のタイツで脚を包んでいる者もいた。
大きなテーブルから垂れているテーブルクロスによって孝一の視界は制限されてはいたものの、孝一は、彼女たちのボリューム感溢れたムチムチの脚を、ゆっくりと頭を右に振ったり左に振ったりしながら飽きることなく眺めていた。
「せい子のSMライフがここまで徹底したものになっているなんて、今まで全然気付かなかったわ」
「ひとりの男を肉体的にも精神的にも屈服させるのって快感でしょうねえ・・・私もやってみようかな・・・・せい子先生、いろいろ教えてくださいね!」
「何だか興奮が収まらないわ!・・・・先生、あのビデオ、ダビングしてもらえませんか?」
「日記もコピーしたいくらいだわ!」
孝一は、5人が見たのは醜態、というか本性を隠すことなくさらけ出した自分が余すところなく捕らえられている調教ビデオだけかと思っていた。
しかし、5人の会話によると、せい子への想いを連ねた何冊もの告白日記もすべて読まれてしまったようだ。
「孝一を私にも貸してくださいね」
「あの奴隷契約書は参考にさせてもらいます!」
「お気に入りの奴隷をあそこまで徹底的に洗脳できたら幸せでしょうねえ・・・」
「何だかゾクゾクしてくるわ!」
「でも孝一ってとことんマゾ男だったのね・・・。宣誓だって自分の言葉のようにスラスラ言ってたし、せい子に言う言葉のひとつひとつが本心からの言葉だって感じがしたもんねえ・・・」
「辱められて喜ぶ・・・・思いっきり変態だけど、それが偽りのない孝一の本当の姿なのよ!」
「・・・・でもぺニスは本当に小さかったわよねえ・・・・あれじゃあノーマルな女の子には相手にされないのも当たり前よね・・・・」
「今思い出しても笑っちゃうわ!」
「みんなで孝一のことを『包けい!』で呼ぶことにしない?」
「いいですねえ・・・・」
「乗馬ムチで刺激しながら『おいこら、包けい!もっと大きくしてごらん!』なんてね!」
「孝一もきっと喜ぶと思うわ!」
「悦楽の表情で恍惚としている孝一の耳元でささやいてあげるわ、『この役立たずの短小包けい野郎・・・』ってね」
「孝一にとってこの職場は天国ね!」
「でも、みんな、生徒さんがひとりでもいる場所ではいくら孝一でも苗字で呼ぶようにしてね・・・・ここはSMクラブじゃないんだから」
「せい子先生、じゃあ、それ以外のシチュエーションなら、孝一を『包けい』って呼んでいじめてもいいですか?」
「いいわよ。みんな孝一をいじめてもいいわよ・・・但し、孝一は私の所有物だっていうことは忘れないでね」
「くやしいな!・・・私も早く所有できるような奴隷と巡り会いたい!」
「ツバまみれにされて射精しちゃうなんて、よほどせい子先生のツバが気持ち良いんでしょうねえ・・・」
「恥も外聞もなく幸せそうな顔してヒクヒクさせてたじゃない?」
「人間、あそこまで落ち果てるものなのね・・・・」
「でも、孝一はもう私の前では自分を何も偽らず隠さず本性のままで生きていけるんだから、ある意味では幸せなんじゃないかしら」
「せい子先生は幸せなんですか?」
「自分の性癖を一生満たし続ける素質充分な奴隷を所有できたという意味では幸せなのかもね・・・でも、まだまだ調教は始まったばかりよ。私が精神的にも肉体的にももっともっと幸せになるための、そして、もっともっと私の性癖を満足させるための調教は現在進行形よ!」
「いいなあ・・・・仕事もプライベートも充実してるんですね」
「そうだ、今度私たち4人でツバを吐きかけて、本当にツバの海で溺れさせてやろうよ!」
「ツバの匂いで吐いたのが誰なのかを当てさせるっていうのはどう?」
「一発で当てられるくらいになるまで毎日鍛えなきゃいけないわね!」
「・・・・そういえば孝一は『人間椅子としてどれがせい子先生のお尻なのかを一発で当ててみせる』なんて面白いことを日記に書いていたわね。じゃあ、私のお尻も覚えてもらわなきゃ!」
「毎日、ひとり一時間ずつ孝一を人間椅子として使うっていうのはどうかな?」
「・・・『違いのわかるマゾ男』ってわけね!」
「・・・・でも、あれだけの醜態をせい子先生に握られているんだから、孝一って本当に死ぬまでせい子先生に逆らえないわね・・・・」
「『女性が男性を支配する』っていうのを現実のものにしたのね・・・ああ、うらやましい!」
「『自分は私に逆らうことの許されない奴隷なんだ』っていう認識はしっかり植え付けられたみたいね・・・・みんなも奴隷と出会ったら、まず、そういう認識を植え付けることね・・・・大事なことは『支配され服従することが強いられている』という認識じゃなくて『それが当たり前』っていう認識を植え付けることね・・・・それと、その認識を持たせるまでは情け容赦なく責めること、決して手加減しないことね」
「ああ!私も早く専属奴隷がほしいなあ・・・・」
「でも、せい子先生って人を見る目があるわよね。私たちって全員サディストだってことがこれではっきりしたものね」
「あんな過激な調教ビデオを見せられても、みんな目を逸らしもせずじっと見入っていたものね・・・・目を輝かせていたものね!」
「得意な英語で仕事ができるし、好きなSMも学べるんだから、みんな就職先としては正解だったんじゃない?」
「ホント、そうですよね。せい子先生に負けないくらいのサディストになれるように頑張ります!」
「私だって負けちゃいないわよ!」
「『せい子に負けない』なんて、よほどの真性サディストじゃなきゃそれは無理なんじゃない?」
4人の講師らはせい子も交えて、孝一がテーブルの下に拘束されているということに気付かずに、先ほど隣の部屋で長時間に渡って見せてもらったせい子による孝一調教のビデオや告白日記の感想を口々に話した。全員が嬉々として感想を述べ合い、盛り上がった会話は途切れることがなかった。
