b-maniaさんの作品「愛は歪曲の彼方に」(1)

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今回はフィクション。男性教師と女生徒。

筆者よりコメント:久しぶりの投稿となりますが、今回の作品は、なかなかSMプレイにならずに多少もどかしく思われるかもしれませんが、一種のラブストーリーのつもりで書いたものです。

かなり重たいかもしれませんが、是非ご一読頂けたら幸いです。

もし女王様からのご意見・ご感想などを頂けたら、天にも昇る気持ちになるでしょう。

今回の小説は同胞の方よりも、S女性の意見を聞いてみたいと、思っています。

春3月。一般的に、進学塾と名のつくところは、学校よりも一足早く新学年度の授業が始まる。

「いよいよ君達は中学3年生になるんだ。受験生としての気構えをもって、今年1年、思いっきり頑張ろうな!そして、来年はいい春を迎えようぜ!」私は新しく中学3年生になる子供達に激励の言葉を贈った。

受験生の顔としては、まだまだであるが、生徒は皆、普段より緊張しているように見えた。

「それじゃあ、教科書の5ページを開けてくれ。

『現在完了形』から始めるぞ。これが中学3年生の一発目の内容だよ。それじゃあ、いくよ!まず…。」黒板に書き始めた説明書きを、子供達が必死でノートに書き写す。

難関校を目指している彼等はみな、お互いにライバルであることをそれなりに自覚しながら、140分間の熾烈な競争を繰り広げていく。『自分の望んだ学校へ行きたい』という強い想いを感じて、教える私にも自ずと熱が入る。

小さい教室は教師と生徒の情熱に溢れていた。私はその一体感が大好きだ。

私は山城圭介、30歳。某有名国立大学の英文科を主席で卒業して、一度は一流商社に就職した。

営業部に配属され、将来を嘱望されたものの、学閥やら接待やらの「仕事上の人間関係」の煩わしさから、4年前に退職。学生時代にアルバイトをしていた進学塾の講師募集に応募して、正社員として採用された。去年から大学生3人と小さな教室を任され、毎日忙しく働いている。

最初は『腰掛け』のつもりで始めた『にわか先生』も、もともと子供が好きで、彼らの成長が肌で感じられるこの仕事に、遣り甲斐を見い出し、今ではどっぷりと教師生活にのめり込んでいる。

生徒数も口コミで徐々に増え始め、私が受け継ぐ前の年の2倍にまで膨れ上がり、会社からも何かと期待される立場になっていた。そんなこんなで未だに独身。

容姿は生徒や友人いわく、SMAPの「木村拓哉」に似ているらしく、よく「カッコイイ」と言われるのだが、未だに彼女いない歴30年の冴えない素人童貞。女性に対して、社交性に乏しく、極度のあがり症の性格と重度の脚フェチという性癖が災いしてか、劣等感の塊で全然モテたことがない。

悪友いわく、「中学生なんか教えたって、何の得もないだろ?高校生ならまだしも…。

まあ、人畜無害のお前なら、誰を教えても手なんか出さないだろうけどな。」「俺がそんな顔してたら、絶対、女と遊びまくってるだろうなあ。ほんとにお前は宝の持ち腐れだな。」などと言われたい放題である。

26歳のとき、昔の会社の同僚に、転職祝いで連れて行ってもらったソープランドでも、「そんなジャニーズ顔して、何で今まで童貞だったの?もしかしてあなた、なんか欠陥でもあるんじゃないの?」と、呆れられたほどである。

教師と言う仕事への遣り甲斐に反して、日々の単調な生活になんとなく侘しさを感じていた。「なんとなく無駄に歳をくってくんだろうなあ。」と、溜息をつくことが多くなったのは、そんな毎日に寂しさを感じていたからだろう。

彼女に出会うまでは…。

今年の4月の初め。

春期講習が一段落ついたある日、『難関校クラス』で、1、2を争う成績の西原絢子と源江梨が、「圭介先生。私達の友達がこの塾に入りたいっていう子がいるの。とびっきり美人で、頭のキレる、うちの中学の生徒会長。」と言う。「へぇ~、ほんと?お前らより、美人なのか?そりゃ、楽しみだなあ。」「でも、圭介先生。その子に手を出しちゃダメだよ。未成年淫行で捕まったら、しゃれにならないからネ。」と江梨が言った。

「私なら、誰にも言わないよ。どう、圭介先生?私ってば、今が食べごろよ。」と、絢子が私をからかう。

「ア、アホか。そんなことできるかい!」「まあ、圭介先生がそんな度胸のある先生だったら、彼女の1人や2人、いるはずだもんね。」と江梨。「あ、あのなあ…。」たわいもない会話でいつものように授業が始まった。

次の日、「こんにちは。」と、この小さな教室を1人の女の子が訪れた。名前は久保泉美という。

地元の公立中学に通う中学3年生で14歳。志望校は名門国立大学の附属高校を志望していた。

彼女が言うには、今まで大手の進学塾に通っていたらしく、他の科目は問題なく出来たそうなのだが、英語だけがどうしても伸び悩んでいたらしい。そこで英語が抜群にできる、同じクラスの絢子と江梨に相談して、この塾に決めたそうだ。

大抵の場合、入会手続きは子供が親と同伴で教室に来るものだが、「父は単身赴任、母は看護婦をしているので、ほとんど家にいません。

だから、一人で手続きをするように母から言われています。

印鑑もお金も持ってきました。

今日、手続きをしたいんですが、宜しいですか?」セーラー服のスカートを膝上までに短くして、ルーズソックスにローファーといった出で立ち。

うっすらと化粧をし、くせのある黒く長い髪を無造作に束ねた美少女の口から、あまりにしっかりとした話し振りを聞いて、私は見た目との大きなギャップに正直驚いていた。いかにも、「頭のキレる生徒会長」らしい言葉だった。

手続きの用紙を書き終えて、その女の子はこう言った。

「先生。私、全然英語ができないんです。だから、英語を個別で教えていただけませんか?できれば、1年生の内容から教えて欲しいんです。絢子や江梨達が『あたしらの塾のね、英語の先生…圭介先生って言うんだけど、すっごく良いよ。泉美、絶対気に入るって!教え方、すごい上手いよ。』って聞いたので…。お願いします!先生の空いている時間で構いません。私、絶対あの高校に合格したいの!」そんな切実な言葉に私は、「気持ちはよくわかったよ。じゃあ、土曜日は授業のない日だから、個別で見てあげるよ。」と言った。すると泉美は、「ありがとう、圭介先生。」私の手をぎゅっと握り締めて、私の目を覗き込んでニコッと微笑んだ。

彼女の澄んだ大きな瞳に、私は吸い込まれそうな気がした。女の子と付き合ったことがない私は、顔を真っ赤にし、慌てて目線をそらしてしまう。

「やっぱり、噂通りなんですね。みんな、言ってましたよ。どんな先生って聞いたら、『圭介先生ってば、とびっきりカッコいいんだけど、思いっきりシャイで、彼女いない暦30年なんだよ。』って。そんなにカッコイイ顔して、本当に彼女いないんですか?」と、いきなり私の弱点を指摘されてしまう。

あいつら、いったい何、教えてんだ、まったく…。

「コラ、コラ。頼むから、大人をからかわないでくれよ。その手の話は苦手なんだ。」「圭介先生って、すっごく可愛いネ。そんな人が泉美の理想のタイプなんだ。」と言うと、「今度から塾が楽しくなりそう。先生もカッコイイし、友達もたくさんいるし…。ありがとう、圭介先生。私、頑張るからネ。」そう残して、泉美は手を振りながら、教室を後にした。

このとき、泉美が私の運命を大きく変えていくことなど、夢にも思わなかった。

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