b-maniaさんの作品「愛は歪曲の彼方に」(4)

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翌日、絢子と江梨が私のそばに駆け寄ってきて、「先生、昨日神戸で、デートしてなかった?」私はドキッとした。「ど、ど、どうして?」「昨日ネ、私ってば、家族で神戸の親戚の家に行ってたの。たしか、異人館近くの靴屋さんかな?先生、ラブラブだったっしょ?お相手はモデル?それとも、OL?スッゴイ美人だったわよ。」と江梨が言った。「へえ~、先生もやるもんだね。生まれて初めてのデートだったんでしょ?嬉しかった?」と絢子。私は弁解する余地もなく、ただ顔を真っ赤にして俯くだけだった。

そこに、「こんちは~、圭介先生!」といいながら、泉美が教室に入ってきた。「ねえ、泉美、泉美!昨日、圭介先生ってば、スッゴイ美人とデートしてたのよ。」「知ってるよ。私も昨日、神戸にいたから…。」と、泉美は笑顔で応えた。やばい。泉美のヤツ、全部話す気かと、私は気が気でなかった。「私、昨日神戸で彼氏に、このブーツを買ってもらったの。カッコイイっしょ?そんときに圭介先生に偶然会ったの。ねえ~、先生?」「すっご~い、泉美の彼氏ってば、年上なの?高かったでしょ、これ。」「誕生日のお祝いに買ってくれたの。ちょっと年上でカッコイイ人。」泉美は私の顔をチラッと見て、ウインクをした。「羨ましいなあ。私ってば、彼と別れたばっかりだし…。そんな彼氏、私も欲しいなあ。圭介先生みたいなカッコいい人。」と、絢子が言う。

泉美のしなやかな脚は、白いストッキングと、私が昨日買ってあげた白いロングブーツで華やかに飾られていた。白いニットのワンピースと白いブーツがとてもよく似合っている。「泉美ってば、ホントにそんなカッコが似合うよね。大人っぽくてうらやましい。」「私もそんなカッコして、塾に来ようかなあ。」「じゃ、今度みんなで大人っぽいカッコして、圭介先生を喜ばせてあげようよ。圭介先生、こんなカッコ好きだもんネ?」と、悪戯っぽく泉美は私に微笑んで見せた。「賛成!私もお洒落して、塾に来ようっと。」そうして、3人は教室に入っていった。いつのまにか、泉美の彼氏の話で、教室が盛り上がっている。

私は内心、ホッとしていた。泉美の心遣いが嬉しかった。泉美にしてみれば、私と付き合っていることに対して、ある種の罪悪感があるのかもしれない。私のことを気に入ってくれている他の生徒達に対して、泉美は配慮してくれている。そんな泉美の何気ない優しさが嬉しかった。

泉美と初めてデートをした、同じ週の土曜日。泉美は15歳の誕生日を迎えた。個別の授業を早めに切り上げて、小さなケーキに15本の蝋燭を飾り、2人でお祝いをした。電気を消した教室に、儚げな蝋燭の火が揺れている。その灯りの中で、2人は抱き合い、熱いキスを交わした。「ハッピィー・バースデイ、泉美。」「ありがとう、圭介。こんな素敵な誕生日は生まれて初めて…。好きな人と一緒に過ごせるなんて…嬉しいよ。」いつもと変わらぬ泉美の笑顔が私の腕の中にあった。

小さなケーキを食べ、缶コーヒーを飲みながら、何気なく泉美は私に聞いた。「圭介って、1人暮らしっしょ?仕事が終わったら何してんの?」「コンビニで弁当買って、テレビ見ながら、飯食って、風呂入って、ビデオ見て、寝る。ほとんど毎日、このパターン。」「へえ~、やっぱ1人暮らしの男の生活なんだ。…ところでビデオって、AVなの?」「バ、バカ。映画だよ、映画。」「あ、また照れてる。でも、見たことはあるっしょ?」「そ、そりゃあ…って何、言わせんだ!」と、必死で弁解をしていた。

私の胸に頬を寄せて、泉美はふっと小さな声で呟いた。「…圭介、私を抱きたい?」「え…?」私は自分の耳を疑った。「泉美は、圭介に抱かれたいよ。…もっといっぱい愛して欲しいの。泉美ってば、欲張りな女だから…。ほんとはすごい不安なの。ほんとに、圭介が泉美のこと、愛してくれてるのかな、とか…。圭介に捨てられたらどうしよう、とか…。あたしってば、まだガキだから…。初めて圭介とキスしたときから…。ここんとこ毎日、そんなことばっか、考えてるの。だから、圭介の喜ぶこと、いっぱいしてあげたい…。」泉美のそんな言葉を聞いて、私は泉美の足許に目を落とした。

そこには、あの白いニーハイのロングブーツが目に入った。「そのブーツで俺の顔を踏み躙ってくれ!顔を蹴り上げてくれ!」そんな言葉が口から溢れ出そうになる。「今日、お母さんが夜勤で、家に帰ってくるのが明日の昼頃だから…。こんな幸せな気持ちをここで終わらせたくないの。今夜、圭介の家に泊まらせて。そして私を愛して。…お願い、圭介。」15歳の少女と魅惑的な女性という、2つの顔を持つ泉美の顔は、「それじゃあ、おいで。」と言わせるだけの魅力に溢れていた。「あたしってば、圭介と付き合い始めて、一人ぼっちの夜が大嫌いになったの。今まで、ずっと家に誰もいないことが、普通だと思ってたから…。人を好きになるって、不思議なんだネ。」と小さく微笑んだ。

泉美の心の寂しさを本当に理解することは出来なかったが、昔から会えないときの寂しさや失ったときの悲しさが怖くて、女の人を愛することのできなかった臆病者の私には、泉美の気持ちがほんの少し理解できた。でも、今は誰よりも泉美を愛している。だから、その精一杯の気持ちをこめて、「12時ぐらいには、仕事が終わるから、その頃に教室へおいで。」と言って、泉美にキスをして教室を送り出した。「また、あとでネ。」と、言いながら泉美は外へ駆け出していった。

書類を作成し、業務日報を書き終えて、時計に目をやった。泉美が来るまでに、まだ1時間近くあった。私はいつものようにスクラップ・ファイルを取り出し、服を脱ぎ始めた。泉美の美しい脚に蹴られ、踏み躙られ、ハイヒールやブーツを舐めまわしながら、涙を流し、許しを請う…。そんな惨めで憐れな自分を思いながら、自分の息子を激しく摩擦する。泉美の座っていた椅子に顔や息子を擦りつけ、快楽の世界に没頭していた。「も、もうイキそうです。泉美様のブーツで踏み躙られながら、果てさせてください、あ~っ!」断末魔の叫びと共に、私は白濁の液体を床に零してしまう。

私はふと、誰かの視線を感じて、教室の入口に目をやった。そこには、赤いチャイナドレスと赤いハイヒールの泉美が立ち尽くしていた。時計に目をやると、11:30を指していた。まだ、30分前…。「ど、どうして…。」声にならない、言葉が口をついた。鍵を閉め忘れていたことにやっと気がついた。「…圭介、何で裸なの?何してたの?どうして泉美の名前を呼んでいたの?」泉美は静かな口調で私を問い詰める。何も言えず、私はただ下を向くしかなかった。

教室に散乱する私の服、大きなファイル、ティッシュペーパー、白濁の液体…。泉美は全てを悟った。「圭介みたいなカッコイイ先生にも、こんな顔があったんだ。」赤いハイヒールを履いた泉美はカツカツと靴音を鳴らし、いつも自分が座る椅子に、脚を組んで腰掛けた。そして私が見ていた分厚いファイルをペラペラと捲っていた。ボンデージ・スーツやランジェリィー姿の美しい女性が、ブーツやハイヒールを履いた脚で、男性の顔や体を踏みつけたり、蹴ったりしている。男性が体を縛られて、鞭で打たれていたり、ハイヒールやブーツを恍惚の表情で舐めている写真などが何百枚もスクラップされていた。

ファイルをゆっくりと閉じて、泉美は「こういうの、SMって言うんでしょ。へぇ~、圭介ってば、こんなことされるのが趣味なんだ。江梨や絢子達が聞いたら、どう思うかな?こんな塾、みんなヤメちゃうね。圭介みたいな、変態教師がいる塾なんて。」と、蔑みの笑みを私に向けた。「お願いだ、泉美。このことは誰にも言わないでくれ!頼む、何でもするから!」私は、悲鳴に近い声を上げて、泉美の美しい脚に縋り付いた。

その瞬間、私の頬に激痛が走った。泉美のハイヒールの甲が私の頬を思い切り蹴り付けた。「圭介、人にお願いする時は、頭をもっと下げるものでしょ?それと私のことは、『泉美様』って呼んでネ。わかった?」と、ニヤリと笑った。私は愕然として表情で、泉美を見つめる。その微笑は、少女の顔ではなく、ファイルにある写真のどの女性よりも悩ましく美しい、そして凶悪な女王様の顔だった。

泉美は土下座をする私の頭の上に赤いハイヒールを載せ、思い切り力を加えた。私は床に額を強かぶつけ、そのまま後頭部をグリグリと踏み躙られていた。私が夢にまで見た被虐的な光景が、教室という子供達を育てる尊い空間で行なわれている。その背徳的な行為に痛いほど、私の息子は勃起していた。

「圭介…、これからお前は泉美の奴隷よ。何でも、言うこと聞くんでしょ?だったらこのハイヒールを綺麗に舐めて。そして、一生私に忠誠を尽くすと誓うのよ。泉美を裏切ったら、どうなるか…。国立大学を出て、教師の圭介ならわかるわよネ?」全裸の私の鼻先に、金色のアンクレットと赤いハイヒールで飾られた、美しい泉美の脚が突きつけられた。「ホラ、圭介。泉美のハイヒールが舐めたくて、舐めたくて仕様がなかったんでしょ?ホラ、お舐め。」「…。」「どうしたの?早く舐めて!」泉美の赤いハイヒールの靴底が私の頬を優しく撫でる。私は、泉美の差し出す脚を両手で大切に包み込み、大きな口を開け、泉美の赤いハイヒールの爪先を口一杯に頬張った。そして、靴の裏や踵をピチャピチャと音をたて、丹念に舐め清めた。泉美は「どこを歩いたかわかんない靴を、よく平気で舐められるわね。やっぱり、お前は変態教師だね。」そう言いながら、何度も私の頬を脚で蹴りつける。「もっと綺麗に、心を込めて舐めなさい!泉美がいいと言うまで…。この靴がピカピカになるまで、何回もやり直しをさせるからネ。」「わかったよ、泉美。」その言葉を聞いた泉美はすっと立ち上がり、私の顔に強烈な蹴りを浴びせた。私は仰向けに倒れてしまった。そして、泉美は私の頬に細く尖った踵を付きたてて、グリグリと踏み躙った。私はあまりの痛さに悲鳴を上げた。「お前は誰に口を聞いてるの?圭介は私の奴隷でしょ?奴隷がそんな口をきいていいの?私のことは『泉美様』と呼びなさい、と言ったでしょ?」泉美は20回以上も私の顔を靴底で蹴った。「今日はこれぐらいにしてあげるわ。また、月曜日ネ。泉美の奴隷、圭介センセ。」血塗れの私の顔に、唾を吐きかけ、踵を返して教室を後にしていった。コツコツと響く靴音が、夜の闇に消えていった。

私はこれからの自分の運命は泉美の手の中に握られていることを痛感していた。自分の邪な欲望を叶えた代わりに、大切な恋人を失ったことを始めて後悔していた。時計は1時を回り、泉美の誕生日は、いつの間にか終わっていた。3時間前にキスをして分かれた、可愛い泉美にはもう会うことは出来ないことを悟って、涙を流していた。

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